2016-01-01から1年間の記事一覧

とどいたコトバ

島で拾った広口の瓶の中。小さく折り込また紙片、こんなコトバが書いてあった。 ★ はじめまして。 突然ですけれど誰かに聞いてもらいたくてこのコトバを海に流します。 幽霊とかそんな話ではないのですが、物理的にはそこには存在しないモノが、 視界の中に…

羽根

この世界にやって来て、たちまち歩き出す奴はいる。 この世界にやって来ると、喉から音を出して誰かを探す。 何かをつかもうと腕をのばす。 体の栄養にしようと何かを口にふくむ。 しばらく目がみえない奴もいるし、すぐ泳ぎ出す奴もいる。 でも、 生まれて…

水かきの力

ゆっくりと水上を泳いでいる白い3羽。 あの時の僕たちのように。 さっさっと彼女は道をすすんでいく。 どこに行けばよいのかなんて、とっくの昔から私知っているんだから、と。 でも、こっそり彼がつづいてくるのを目の端と、左の耳たぶで確かめつつ。 そっ…

トリックスター

好きな言葉はなに? きみに昔、たずねたことをふっと思い出した。 ”わからない” ”好きな言葉がたくさんあるってこと?” ”だから、好きな言葉よ” ”わからない” ”そう!わからない” ★ 今になって少しわかって、わからなくなってくるよ。

常識の手前

私の前のドアに、 ここから中は常識のない人の入場はお断り、とかかれていた。 そして、ドアの横に門兵が一人立っていた。 私は門兵にたずねた。 常識とは、何でしょうか? 門兵は無言で真っすぐに前を見つめたままだった。 もう一度同じ質問を前よりも少し…

道ノ下

毎日おなじ道を通っている。 太陽は、もうすでに高くのぼってギラギラと輝き僕を待っている時期もあるし、 空と地面のほんの隙間だけを照らして、暖かい地面の中でグズグズしている時期もある。 空気の暖かさや湿り気、そして動きまわる速度は、同じことは一…

ジィミーズ キティ

アメリカに言ってみたかったと、キミは言う。 まっすぐに伸びる道がアメリカだと。 大きな冷蔵庫と、塀のない芝生がある家が並ぶので、 何処へも自由に出入りできるところが、アメリカだと。 姪が十二年前に子供を産んで暮らしている場所が、アメリカだと。 …

すこし開いた扉

もう一週間ちかくなる。 日が昇ると毎朝食堂へ彼は向かう、半分だけ開いた 扉の前で順番を待つ。 彼の名前が呼ばれるのを待つ。 初めて食堂を訪れた時、扉の中から固い表紙の分厚い 辞書のようなものが一本のペンといっしょに彼に差し出された。 ヒラヒラと…

Search me !

気が小さいんだ、僕は知っている 少しよく考えるさえすれば、すぐに解決できる問題を まっすぐに考えようとはしないで ただただ、オロオロとどうしょう、どうりしようとビクビクと問題の周りをグルグルグル、そして近づかない イヤダイヤダと頭を振ってふっ…

ページの最後にそれは小さく書いてある

すでにそれは失われてしまった。 悲しんではいけない、でもね、手に入れた時はおお喜び。 自分を押し付けてることは、全然なかったのに、 僕は腹が立つ時が時々あって、怒りをぶつける。 でもね、けっしてそれに苛々したり、気にしたり せず、 静かに怒りが…