常識の手前

 

私の前のドアに、

ここから中は常識のない人の入場はお断り、とかかれていた。

そして、ドアの横に門兵が一人立っていた。

 

私は門兵にたずねた。

常識とは、何でしょうか? 門兵は無言で真っすぐに前を見つめたままだった。

 

もう一度同じ質問を前よりも少し大きな声で私は繰り返した。

 

するとこんどは、彼は答えた。

常識とは何かと人にたずねないの事が、常識である。 

真っ直ぐ前に視線をむけたまま。

 

そこで私はどうすれは良いのかわからなくなって、

門兵がいるのと逆のドアの脇に立ち、

 

誰かがやって来るのを真っ直ぐに前を向いって待った。

 

 

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