すこし開いた扉
もう一週間ちかくなる。
日が昇ると毎朝食堂へ彼は向かう、半分だけ開いた
扉の前で順番を待つ。
彼の名前が呼ばれるのを待つ。
初めて食堂を訪れた時、扉の中から固い表紙の分厚い
辞書のようなものが一本のペンといっしょに彼に差し出された。
ヒラヒラとした薄い紙を半分から少し後ろまでめくると、
何も書かれていない真っ白なページになった。
そこに名前を書き込んで、彼は扉の中の人に戻した。
その時から、扉が半分ひらいて閉められる朝から夜まで毎日まって、
一週間ちかく経つ。
とても激しく彼は腹が減っている、でも 何が食堂で食べられるのか
彼は知らない。