とどいたコトバ
島で拾った広口の瓶の中。小さく折り込また紙片、こんなコトバが書いてあった。
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はじめまして。
突然ですけれど誰かに聞いてもらいたくてこのコトバを海に流します。
幽霊とかそんな話ではないのですが、物理的にはそこには存在しないモノが、
視界の中にみえてまうことが、わたしにはよくあるんです。
もちろん、わたし以外の人にはソレは見えません。
ソレは、わたしの頭のなかだけに存在して、わたしの視神経を刺激しわたしの視界にだけあらわれて姿を表わすモノだからだと思います。
もう、慣れました。
でも、あなたにみえていて、わたしも見ているモノってどうして同じモノってわかるの
かな? ほんとうにおなじモノを見ているのかしら?
それを調べる方法は、あれの力をかりなくては出来ないと気がついたのです。
助けてくれるのは、コトバです。
わたしの頭でみえているモノ(物理的に存在していても、しなくても)は、
コトバを使うとあなたの頭の中に何かがと伝わるはず。 たぶん。
それでは、さようなら。
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瓶の中へ、元のように小さく織り込んで紙片を戻した。
瓶を右手に持って振ってみる。 紙片がカラカラと音をたてた。