そら
朝起きて空を見上げたら、海が空からこぼれていた。
まだ、寝ていて夢を見ているのだなと思った。
さっき目覚めたばかりなのは、間違いない事実のはずだった。
どうして今日、こぼれてしまったのだろう。
分からないのは、そのことだった。
Don't worry
気を遣おうとしても
ポケットの中はからっぽ
裏返してみたけど
私の気はそこからは出でこないから
私に気をつかわないで
プレイ
草むらの道を進む。突き当りに祠が有るはず。
わたしがヨチヨチと歩き出した数十年前に、もうその祠は建っていて、
その頃すでにもう草臥れていた。
強い太陽の光をあび、雑草が私の背丈よりも高く生い茂る。
祠の屋根が雑草のすきまからチラチラと見えてきた。
祠の前だけは、地面が硬くかためられて雑草もなく丸く地面が広がっている。
草むらから地面に足を踏み入れる。祠の前に小さい人影があるので、
一瞬わたしの足は止まる。わたしに背を向け、ショートカットの頭を
前にかがめて女の子が祠の前に立っていた。風が吹いた。雑草の葉っぱが
ゆらゆらと揺れる。女の子首筋にかかる髪の毛もサラサラと揺れる。
でも彼女はただじっと頭を前に少し傾け、両手を胸の前に合わせて身動きせずにいる。
わたしは草むらから半分だけ体をだしたところで立ち止まったまま。その後姿を眺めてた。また、風が吹いた。わたしのあご髭も風でゆれた。
女の子はまだじっと立ったまま動かない。
くるりとわたしは、もときた道の方に足をもどす。しずかに祠の前から離れて行く。
curse
星鳥は気がつく。
きまった一つの方向しか見えなくなって、
その反対へは全く向けないように自分を縛ること。
呪いが架かると、そうなってしまうんだと。
ある日突然やってくる。
そのときまで見えなかった方向に、向けるようになる。
遠くはなれた凍えた大聖堂の景色かもしれない、
小さいころにかいだ甘い香りかもしれない。
そのとき星鳥は気がつく、
ああ、呪いが解けたんだなと。
メーター
空っぽだったんだ、ある日気がつく。
針がカラを指しているメーターを、その日、目にする。
ちょっと前から変だと気がついていた。
なにかが足りなくなっていた。
へりつづけていた。 すこしずつ。
軽くなり楽になっていたのかもしれない。 でも、そもそも重さがあったのだろうか。
だいたいこのメーターを見るまでは、空っぽだったことは気がつかなかった。
すこし前とは変っていると、気になっていたけれど
あれは。戸棚の左の抽斗の中にまだ沢山のこってるはず。
抽斗の奥から引っ張りだしてタンクにつぎ込む
メーターはFullをさして、消えて行く。
次に空のメーターを目にするはいつだろう
端のカリカリ
フライドエッグのカリカリに焼けた端のぶぶんと同じくらいに
君がすきな僕だった
今朝もつくった
きみはトロトロで端がかりかりのフライドエッグ
大好きだったのにね
ヴァーブ
追いかけているのかもしれない、
いや。
逃げているみたいな気もその人は、してくる。
英語の動詞には現在形と過去形はあってもね、
未来形の動詞ってないんだよ。
むかいしある人が教えてくれたのを思い出す。
使える動詞は、現在形と過去形だけなのかと
そのひとは立ち止まらずに考えつづける