プレイ
草むらの道を進む。突き当りに祠が有るはず。
わたしがヨチヨチと歩き出した数十年前に、もうその祠は建っていて、
その頃すでにもう草臥れていた。
強い太陽の光をあび、雑草が私の背丈よりも高く生い茂る。
祠の屋根が雑草のすきまからチラチラと見えてきた。
祠の前だけは、地面が硬くかためられて雑草もなく丸く地面が広がっている。
草むらから地面に足を踏み入れる。祠の前に小さい人影があるので、
一瞬わたしの足は止まる。わたしに背を向け、ショートカットの頭を
前にかがめて女の子が祠の前に立っていた。風が吹いた。雑草の葉っぱが
ゆらゆらと揺れる。女の子首筋にかかる髪の毛もサラサラと揺れる。
でも彼女はただじっと頭を前に少し傾け、両手を胸の前に合わせて身動きせずにいる。
わたしは草むらから半分だけ体をだしたところで立ち止まったまま。その後姿を眺めてた。また、風が吹いた。わたしのあご髭も風でゆれた。
女の子はまだじっと立ったまま動かない。
くるりとわたしは、もときた道の方に足をもどす。しずかに祠の前から離れて行く。