ライムグリーン

初めて彼の家に行った時ドロシーは、

そこがとても懐かしい感覚のわきあがる場所であることにとても、驚いた。

ドロシーと彼女が呼ばれるのは、樫で出来た扉の中で、出会った人たちの間だけだ。

両親も双子の姉も※※※ちゃんと彼女のことを呼ぶ。

そして、彼も。

上品な和服を着た彼の母親が、丸盆に急須と湯呑を二つ載せて持ってきた。

彼と二言三言言葉をかわして襖をしめて、出て行った。

 

急須から二つの湯呑に交互にゆっくり、香りよいお茶を注いで彼は彼女に、手渡した。

暖かい湯呑を手にして、アルコール、それもとても強いアルコールそうテキーラだとかを飲み干している自分の姿をドロシーは想像する。

屋の軒の先には五月の乾いた光が竹林を照らしだしている。

 

彼女は畳の先の景色に目を向ける。

手首まである袖のライムグリーンのカーディガンの下でドロシーは、一昨日の仕事で赤く浮かび上がったそれがヒリヒリとした痛みをおびているのを感じていた。

 

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