濃い色となって響く音
財布の中が、アルミニウムの硬貨だけになってしまう時。
それは暖かなボカボカとした日差しの下平らな道を進んで行くと突然、道がなくなって
草がボウボウ生えた原野に行き着いてしまう感じなのだろうか。
膝ががくがくして僕はその場に、しゃがみこんでしまうことだろう。それとも、
ただ呆然と立ちすくんで何が起きてしまったのだろうと、固まってしまうのかも知れない。
とにかく、それは現実に起こりえる事の一つだったらしい。
その日君がお財布を取り出した時に中身がチラッと見えてしまった。
2枚だけそこにあるアルミニウムの鈍い輝き。その時僕を無口にしている理由。