かなり良い時、けっこう悪い時

ぶどう酒を飲み過ぎたみたいだ。

まったく寒さをかんじない。凍ったデコボコの石畳を歩いていく。

大教会脇、静まりかえる中央広場の街灯は、根本の汚れた雪をまあるく橙色に照らす。

トラムはまだ動いている時間のはずなので、停車場で待つことにする。

手袋を外してポケットの中からタバコを取り出し、くわえ、マッチをすって

火をつける。

氷点下の大気のなかに白いものを吐き出し、鼻から空気を吸い込む。

鼻毛がチリチリと凍りつく音が頭のなかに響く。

そしてまた、口から白い煙をはく。体の中からクッキリとした白い形が、

出て行って薄く、薄くなって回りに溶け込んでいった。

 

 

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